AImedentomologie’s diary

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カナダ永住権申請まとめ

科学者としてカナダで働くにあたり、カナダで永住権の申請をしました。手続きはシンプルかつスピーディーで、さすがは移民の国という気がしました。永住権を持っていれば、就職に関しては市民権を持っている人(つまり「カナダ人」)と同等に扱われますし、カナダ国内のグラント等への応募資格も得ることができます。

 

今回は、Express Entryという仕組みを使って以下のように永住権の申請をしました。

 

2017年8月上旬   Express Entry でプロフィール登録

2017年8月22日   Invitation to Applyをもらう

2017年11月22日   必要書類を集めてオンライン提出

2017年12月12日   パスポートのコピーと写真の提出を求められる

2017年12月13日   上記を郵送(到着:12月18日)

2017年12月30日   Final Decision (Approved)の連絡を受ける

 

11月に書類を送ってから、1ヶ月ちょっとの時間で永住権の申請が承認されました。

カナダのExpress EntryではComprehensive Ranking Systemによって申請者に点数をつけ、点数の高い人から処理されるようです。おそらく職種ごとに処理されているのだと思いますが、私は生命科学者 (Biological Scientist)として登録しました。学位はPhD, 英語力はIELTSの点数を提出しました。また、日本では大学院生の間、研究者として3年間フルタイムの給料をもらっていたので、それを職歴として提出しました (Express Entryでは、当該職種でのフルタイムの経験が国内外問わず必要になります)。また、現在はカナダ国内でポスドクとして仕事をしていますので「カナダ国内ですでに働いている」という項目にチェックをいれました。

 

Express Entry で作ったプロフィールのスコア詳細は以下の通りです。私はFederal Skilled Workerとして応募しました。下記にも記されているように、Provincial Nominee Program (州から推薦されるプログラム)やCanadian Experience Class, Federal Skilled Trades と呼ばれる様々な移民プログラムがあります。

私の場合の総合スコアは462点で、内訳は年齢100点、学歴140点、語学力122点、さらに博士号+英語力で50点加算、日本での職歴で50点加算、という形でした。カナダでの就労経験は1年以上あると点数が加算されますが、私の場合は1年に満たないので残念ながら0点でした。

Express Entryの足切りラインは2017年は400~450点くらいの間で推移していたので、私の場合はこれ以上点数を増やす努力はしませんでしたが、他にもフランス語のテストでフランス語力を証明したり、配偶者がいる場合には配偶者の学歴や職歴を証明することで点数を増やすことができます。

 

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私の印象になりますが、研究者(大抵はPhDを学位として持っていて、さらに大抵は英語を普段使っているので英語力はまあまあある)にとっては決して高いハードルではないように思います。むしろ、カナダにくるメリットがあるのか(研究環境や給料、生活面など)の方が研究者の方々には重要で、ハードルが低いから来るひとが増えるというわけでもなさそうですね。特に日本のような(施設的・資金的には)恵まれた研究環境で研究ができている場合には、あまりメリットはないのかもしれません。

 

 

 

手続きの話に戻りますが、Invitation to Applyをもらってからは、日本の犯罪歴証明書(警察証明)を手に入れるために、日本の家族に戸籍謄本をとってもらい、それをカナダに郵送してもらったのちに、その戸籍謄本を持ってモントリオールの日本総領事館に言って指紋採取などを行う、という手順を踏みました。警察証明が手元にとどくまでに2ヶ月強かかりました。本申請の期限ギリギリに近くの病院に健康診断をお願いしたら「もっと余裕持ってやれよ」と言いながらも、親切に対応してくれました。健康診断は自腹で、1人350ドルほどかかりました。また、永住権の申請費用として、カナダ政府に1人1000ドルほど支払う必要があります。モントリオールへの旅費などを合わせると、結局1人2000ドル弱がかかります。高価な買い物かもしれません。あとは、現在の仕事の状況を証明するために研究室のボスに一筆書いてもらったりしました。

 

職歴や学歴はComprehensive Ranking System の点数を稼ぐ手っ取り早い方法なのですが、英語力が一定以上でないと職歴と学歴の加算ポイントが半分になってしまう、というハードルがあります。テストに慣れてない人は少し対策した方が安心かもしれません。

 

atmiyashita.hatenablog.com

 

 

来年の夏くらいまでに・・・と思っていましたが、案外早く永住権申請が承認されたので、驚いています。研究者にとってカナダという場所がどれほど魅力的かはわかりませんが、何かの参考になればと思い、記しておくことにしました。

 

熟慮の1年

歳を重ねるごとに自分の中で季節感というものが失われているような気がします。

 

その理由はおそらく、学部生までは講義の有無によって季節のリズムが外部から定期的に強制(矯正?)されていたのに対し、大学院になってからはほとんど講義も無くなったからではないかと考えています。この傾向は再び講義を担当するようになるまで(教員としてのポジションにつくまで)は続くと思います。

 

今年はさらにカナダの田舎町で年の瀬を迎えることになり、これまでであれば忘年会シーズンで大忙しだった時期であるにもかかわらず、特に大きなイベントもなく(クリスマスはどこもお店が開いておらず、めいめいが家庭で過ごすようです)、気持ちを切り替える暇もないまま新しい一年を迎えることになりそうです。

 

とはいえ節目は節目ということで、昔の投稿を読み返してみました。

2017年は目立った投稿を新年にはしていませんでしたが、2016年はしっかりと抱負を述べていました。

 

 

atmiyashita.hatenablog.com

 

およそ2年前の2016年元旦に、私は「自分のスタンスでヒットを打つ」という目標を掲げていました。ほとんど忘れかけていましたが、そんな決意をしたこともあったのですね。今振り返ってみると、その思いが本当に脈々と今日の自分につながっているように感じます。あの時期の私が、今の研究室への滞在を決めました。「どうしたらいいか全く手がかりもないけれど、今のままじゃ自分はダメだ」という強い危機感が、当時の自分にはありました。そういう危機感を抱かせてくれたのは「どうせだから全然違うことに手を出してみよう」と思って2014年に参加した薬剤師養成プログラムでの経験であることは間違いありません。研究室一辺倒になっていた当時の私に、病院や薬局を通して見えた世界が新鮮でした。仕事とは何か、信頼とは何か、科学とはなんのためにあるのか、といったことを深く考える中で「研究ができなければクズだ」「議論では相手が泣くまで追い込め」という偏った見方・流儀に違和感を抱き始め、その結果として今の自分があるのだと思います。

 

2017年は「小休止」または「熟慮」という一年でした。国外への転居、新しいプロジェクトのセットアップ、技術的課題の克服、新しいラボの学生のマネジメント、新しいボスとの論文執筆、OpenCVを使った画像認識の試行錯誤、など、具体的にあげれば色々と取り組んだものですが、全体を通して「ゆっくり考える」ということが多かったように思います。毎日、ちょっとずつでいいからじっくり考える。それを毎日続ける。いうのは簡単ですが、実行は困難です。

 

とくに論文執筆のスタイルとしてこれまで「得られたデータからイントロダクションを考える」という風に教えられて来ましたが、新しいボスの下で「実験を始める前にじっくり考える」ということを強調されました。先行研究を深く学び、その上で重要な問いに対する仮説を立てる、という科学の基本を自分はこれまで軽視してきたと思うに至りました。これは、私が今年最大の収穫と位置づけています。

 

2018年は再び行動の一年になるかと思います。まずは新しいラボでの研究をしっかり形にしなければなりません。また、次のキャリアについても行動を起こさなくてはなりません。余裕はあまりないですし、数年先のことも先が見えない状況ですが、だからこそという楽しみもあります。思い返してみれば私は受験勉強というものに染まってからというもの、将来のための今を生きることばかり繰り返して来たように思います。「将来のための今」に一生懸命になるあまり、幸福感を現在の自分に引き寄せることができないという課題を抱えて来ました。今苦しくても将来は明るい、というスタンスではなくて、今楽しいからこのままいけば将来もきっと明るい、というふうに世界を捉えることができるようになればよいなと感じます。所詮は私にとって幸せとは、脳内報酬系のカテコラミン濃度のことです。

 

2017.12.30 カナダ東海岸・ハリファックスの研究室にて